第一回象牙質歯髄治療学会および市民公開講座開催報告

さる令和2年2月24日(祝)、岡山大学Jホールにおいて、第1回象牙質歯髄治療学会学術大会および市民公開講座(吉山昌宏大会長)が「歯髄を守る」をテーマに開催された。

午前10時から午後2時までの学術大会には、学会関係者(理事・評議員)9名、一般参加者8名、企業関係者12名、および医局スタッフ18名の計47名が参加した。新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きかったとはいえ、予想していた参加者数の約半分にとどまったことは今後の反省点といえる。まず大会長が基調講演を行い、象牙質歯髄治療学会の設立の意義と果たすべき役割について述べた。続いて特別講演(1)として、徳島大学病院の菅俊行講師が、サホライドに代わるフッ化ジアミンシリケートを応用した審美的かつ画期的な象牙質知覚過敏症治療材の開発の流れや象牙細管封鎖効果について紹介した。また特別講演(2)として、北海道大学の佐野英彦教授がリン酸プルランを応用した新しい覆髄法を紹介するとともに、白金ナノコロイドを用いた象牙質レジン接着性の向上効果について解説した。さらに、直接レジン修復の応用範囲の拡大ばかりが注目されるが、間接法を併用することでレジン修復の耐久性が改善されることを指摘し、温故知新の重要性を述べた。

午後1時からは協賛企業(株式会社ジーシー、トクヤマデンタル、和田精密技研)の研究者から各社の最新の技術紹介が行われたが、次回の学術大会では一般演題を広く募集し、ポスター発表も行う必要性が感じられた。

午後3時からの市民公開講座では「大人むし歯の予防と治療」をテーマに、まず北海道医療大学の斎藤隆史教授が歯の基礎知識を解説した。続いて大会長が、高齢者において激増している根面う蝕の発生メカニズムや予防法について述べた。最後に虎の門病院歯科の杉崎順平部長が最新のレジン修復について豊富な症例写真を見せながら分かりやすく解説した。

参加した約60名の市民との質疑応答の時間も設けられ、歯科医療関係者と患者との活発な意見交換が行われ大変有意義であった。

次回の学術大会では、歯髄保護に関して最先端の研究を特別講演で紹介するとともに、企業による共同研究についても発表の場を設け、一般臨床家が多数参加するような企画も設ける必要があると思われた。第2回学術大会は、2021年1月に再び岡山大学で開催予定である。また現在、学会事務局において、会則およびホームページの整備をすすめるとともに、スムーズな入会手続きシステムを構築中である。

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