研究

 本講座は、う蝕罹患歯の治療および機能回復を目的とした保存修復学を専門としています。保存修復学は、う蝕学(カリオロジー),修復材料学、さらにその臨床応用学から構築されています。したがって、研究分野もこの3分野にわたっており、特に生体機能再生・再建学講座の歯科部門として、象牙質・歯髄複合体の再生メカニズムを研究するとともに、その再生療法の開発に力を入れています。

 従来より、う蝕罹患歯の治療後に再修復を余儀なくさせる二次う蝕の発生予防、抑制を主眼においた研究を積極的に展開しています。そのため、二次う蝕の病態把握を細菌学的なアプローチから実施するとともに、生体に応用された材料は生体との間に新たな界面を形成するとの観点から、材料-生体界面現象の把握を試みています。

 Bioinactive Material のみならず、生体に積極的な機能発揮可能な材料、Biofunctional Material の開発を実施しています。具体的には、歯硬組織の耐う蝕性向上効果を発揮する修復材料ならびに歯と接合し一体化の可能な修復材料の基礎的開発を行い、その臨床応用により二次う蝕の予防、抑制を目した研究を続行中です。

保存修復ではう蝕罹患歯の機能回復のみならず、形態回復も重要です。近年、患者さんの審美的欲求度が増加することにより、修復材料も従前のような高い機械的性質を持つ金属材料から有機高分子材料やセラミックスのような歯と類似した色調の材料が開発されつつあります。本講座では、そのような審美修復材料の開発と修復法の確立のための基礎的研究および審美修復材料の臨床での挙動の長期経過観察を実施しています。

以下は、本講座の具体的な研究内容です。

・象牙質歯髄複合体の再生メカニズムの解明と象牙質再生療法の開発
—–Analyze of dentin regenerative mechanism and development of dentin regeneration and reconstruction therapy

・歯科高分子材料の歯質との接着機構の解明
—–Adhesive mechanisms of resin-dentin/enamel interface by dental resin-based materials

・齲蝕抑制機能材料の開発に関する研究
—–Study of restorative materials with anti-cariogenic effect

・審美修復材料の開発と修復法の確立および臨床研究
—–In vivo and in vitro study of dental aesthetic restorative materials